研究課題/領域番号 |
23730407
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
中野 香織 駒澤大学, 経営学部, 准教授 (20434269)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | 商学 / マーケティング / 広告 / マーケティング・コミュニケーション / クロスメディア / 符号化変動性仮説 / 相乗効果 / メディア |
研究実績の概要 |
メディアとメッセージの関係を明らかにするうえで役立つ、有名人広告の効果に関する論文『有名人の起用期間による広告効果 ―短期起用CMと長期起用CMの比較―』を執筆した。当該論文では、有名人の起用期間に焦点をあて、期間による効果の違いを明らかにしている。論文内のレビュー部分においては、有名人による広告効果の先行研究を概観し、主要な4つのモデルを説明した。そのうち、特にマッチアップ仮説が本研究に関連している。マッチアップ仮説とは、有名人のイメージによって伝わるメッセージと、製品メッセージを一致させるべきという考え方である。 メディアとメッセージに着目した理由は、メディアおよび記憶の分散効果に関する文献研究の結果、複数メディアの相乗効果を測定するためには、刺激物となる「メディア」と「メッセージ」の2変数の検討が必要だと考えたためである。Dahlen(2005)によれば、メディア自体が暗黙的にメッセージを伝達するという。メディアは広告反応に影響を与えるコンテクストを提供するという指摘もある(Calder at el. 2009)。そこで、メディアの効果を見るにはメッセージも切り離せないと考え、メディアとメッセージとの関係を明らかにすることが必要である。 上述したマッチアップ仮説について、Dahlen(2005)はこの考え方を拡張し、メディア自体がメッセージを伝達するためには、ブランドとメディアを調和させるべきだと主張している。そうすると、ブランド連想や広告評価を高めるという。そこで、本研究においては、この点も考慮し、メディアとメッセージの関連を明らかにするための調査設計を行いたい。具体的には、メディア、ブランド、および広告メッセージに関連がある場合の方が、関連のない場合よりも効果が高いことを想定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
育児休業が終了した直後の年度であり、研究と育児の両立が難しかったため。
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今後の研究の推進方策 |
メディアおよび記憶の分散効果に関する文献研究から、複数メディアの相乗効果を測定するためには、刺激物となる「メディア」と「メッセージ」の2変数を考えるべきだとわかった。メディアの種類と順序、およびメッセージの内容をメディアによって変えるか同一にするか、といった課題を整理して調査を行う。 (1)複数メディアの順序効果(メディア:複数、メッセージ:同一) 複数メディアを組み合わせた順序効果を明らかにし、情報処理プロセスのモデル構築に向け、予備調査を2015年5月に実施する。メディアはスマートフォンのウェブサイト、動画、印刷物の3種類を用いる。Aウェブサイト→動画、B動画→ウェブサイト、Cウェブサイト→印刷物、D印刷物→ウェブサイト、Eウェブサイトのみ、の5グループ(各40名)で行う。接触順序については、以前は「マスメディアを見てウェブサイトで検索」する形態が多かったものの、近年では多様な接触形態がみられるため、上記の順とした。測定尺度は、ブランド再生、各メディア接触時の広告態度、ブランド態度、購買意図などである。調査素材は①被験者(学生)の関与が高い製品カテゴリー、②被験者の認知度が低いブランド、③クオリティの高い動画とウェブサイトを有するブランド、という条件で検討し、実在の通信販売食品ブランドを用いる。 (2)メディアとメッセージの関係(メディア:単一、メッセージ:複数) メディア自体が暗黙的にメッセージを伝達する(Dahlen 2005)、およびメディアは広告反応に影響を与えるコンテクストを提供するとも指摘されている(Calder at el. 2009)。そこで、メディアの効果を見るにはメッセージも切り離せないと考え、メディアとメッセージとの関係を明らかにすることが必要である。メディア、ブランド、および広告メッセージに関連している方が、しない場合よりも効果が高いことが想定される。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は調査を行わなかったが、次年度に調査を行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
書籍、調査補助、印刷、データ入力、インターネット調査
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