研究課題/領域番号 |
23730407
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
中野 香織 駒澤大学, 経営学部, 准教授 (20434269)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | クロスメディア / メディア / 相乗効果 / 順序効果 / 広告 / マーケティング・コミュニケーション / マーケティング / 商学 |
研究実績の概要 |
複数メディアを組み合わせた順序効果を明らかにし、情報処理プロセスのモデル構築に向けた予備調査を2015年5月に実施し、その結果を日本広告学会全国大会にて発表した。 調査対象のメディアにはスマートフォンのウェブサイト、スマートフォン上の動画、印刷広告(チラシ)を用いた。調査素材には食品のオンラインショップを用いた。ブランドの選択条件は、①調査対象者である学生の関与が高い製品カテゴリー、②CM(動画)とウェブサイトを有しているブランド、③事前のブランド認知が低いブランド、④CM(動画)のクオリティが高いブランド、の4点である。192名の調査対象者をメディアの接触順の違いによって5群に分けた。A群はウェブサイト閲覧後に動画を視聴させ、B群は動画視聴後にウェブサイトを閲覧させた。C群はウェブサイト閲覧後に印刷広告を閲覧させ、D群は印刷広告閲覧後にウェブサイトを閲覧させた。E群は統制群として、ウェブサイトのみを閲覧させた。 測定尺度は、メディア別の広告態度、ブランド態度、クチコミ意向、検索意向、購入意向、ブランドの事前知識、当該製品カテゴリーに対する関与、などである。メディアの接触順序によってブランド態度や購入意向に違いがあるかを検証するため、動画とウェブサイトに焦点を当て、A群(Web→動画)、B群(動画→Web)、E群(Web)を対象に一元配置分散分析(被験者間計画)を行った。その結果、ブランド態度と検索意向では有意な差がみられなかった。購入意向には有意差がみられ、多重比較の結果、E群(Web)よりもB群(動画→Web)の方が高い結果であった。 予備調査の結果からは、メディアの接触順序による「順序効果」は明確に確認されなかったが、単独のメディアより複数メディアに接した方が、効果が高まる「相乗効果」は確認された。今後は、印刷広告も対象に分析を行い、第2回予備調査と本調査を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究と育児との両立が難しく、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)第1回予備調査の分析:これまでウェブサイトと動画を対象に詳細な分析を行ってきたため、印刷広告も加えて分析する。さらに記憶に関する変数として、情報提示後に覚えている内容の数を群ごとに比較する。 (2)第2回予備調査の実施:第1回予備調査の結果をもとに、調査設計を修正した予備調査を行う。調査素材を見直し、複数の製品カテゴリーを対象にする。加えて、測定尺度の修正も行う。 (3)インターネット調査の実施:第2回予備調査の結果をもとに調査設計をさらに修正し、インターネット調査を行う予定である。 (4)CLT(Central Location Test)(会場調査)の実施:インターネット調査実施後にCLTを実施する。メディアによる効果の違いを把握するためには、インターネット上で全ての調査素材を提示すると正確な測定が難しいためである。動画はテレビにより提示し、印刷広告は直接提示し、ウェブサイトはタブレットにより提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備調査の結果、再度予備調査を行う必要が生じたため。および、進行が遅れており、実施予定であったインターネット調査とCLT調査を行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)第2回予備調査:調査補助、データ入力、調査素材作成費、(2)インターネット調査:実施費用、(3)CLT調査:実施費用 その他、分析するための統計解析ソフト、書籍を購入予定。
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