研究概要 |
本研究の目的は、消費者の購買行動における対人影響のメカニズムを解明し、クチコミの経済的価値を明らかにすることである。平成24年度の研究実績は以下のとおりである。 1.Hikaru Yamamoto, Naohiro Matsumura “The Effect of Earned and Paid Media on Customer Acquisition”,Proc. 2012 Global Marketing Conference at Seoul, 1034-1052, 2012年7月. 2.山本 晶「経営を読み解くキーワード ソーシャルメディア」,『一橋ビジネスレビュー』, 60(1), 90-91, 2012年6月. 3.山本 晶・松村真宏「ソーシャルメディア上のエンゲージメント価値の測定」,『日本マーケティング・サイエンス学会第91回研究大会』, 2012年6月. 1においてはペイドメディアとアーンドメディアの顧客獲得への効果を検討し、クチコミ受発信が行われる場としてのアーンドメディアの価値を検討した。2においてはクチコミの受発信が行われるソーシャルメディアの学術的な定義を明らかにし、活発なクチコミ行動が行われる条件について論じた。3においてはエンゲージメント行動の価値測定の方法を提案した。本研究における「エンゲージメント」とは、サイトとそこに集まるユーザーへの積極的な関与を示す行動を指し、具体的にはコミュニティをつくる、ブログを書く、記念写真を撮影するなどの活動で測定する。そして、エンゲージメント価値 EVはユーザーのサイトにおける各活動の総和として定義する。エンゲージメント価値の測定においては、顧客一人の価値に注目するのではなく、顧客のネットワークにも着目し、ソーシャルネットワーク上の友人の価値を含めた各顧客のエンゲージメント価値の測定を目指した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、顧客の購買行動の分析に社会的な要因を組み込むことによって、各顧客とその顧客が持つ友人・知人ネットワークの経済的価値を測定することである。顧客はクチコミを発信し、新しい顧客を企業にもたらす。こうした友人招待は、多くのネットワークビジネスにおいて推進力となっている。本研究ではクチコミによって新規顧客獲得をもたらす顧客に着目するものである。 平成24年度は、論文を執筆する過程で対人影響に関するマーケティングおよび消費者行動の分野の文献サーベイを実施することができた。また、クチコミとマーケティング活動の相互作用と新規顧客獲得に関する実証分析(研究成果1)においては、本研究の主題であるクチコミの経済的価値とROIを検証した。また、研究成果2においてはエンゲージメント価値に取り組むことができた。平成25年度はさらにクチコミの経済的価値に関する研究を進め、国内外で発信する予定である。 研究成果1: Hikaru Yamamoto, Naohiro Matsumura “The Effect of Earned and Paid Media on Customer Acquisition”,Proc. 2012 Global Marketing Conference at Seoul 1034-1052 2012年7月. 研究成果2:山本 晶・松村真宏「ソーシャルメディア上のエンゲージメント価値の測定」,『日本マーケティング・サイエンス学会第91回研究大会』,2012年6月.
|