研究課題/領域番号 |
23730421
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉田 満梨 立命館大学, 経営学部, 准教授 (30552278)
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キーワード | 市場創造 / 価値共創 / SD-logic / Effectuation |
研究概要 |
平成24年度以降は、製品カテゴリの生成・変化についての経験的研究を実施し、それらを基に、製品カテゴリの動態理解のための理論開発を行うことを計画していた。平成25年度は、とりわけService Dominant Logicを中心とする価値共創という視点と、Saras Sarasvathyによって提唱されたEffectuationという概念を中心とする実践を重視する視点に理論的な焦点を当てて、分析枠組みの開発を行った。 特に、価値共創については、複数の異なる現象と説明ロジックをレビュー論文としてまとめ、その成果は、「価値創造プロセスへの消費者参加」というタイトルの論文として『繊維製品消費科学』(繊維製品消費学会、第54巻 第9号、pp.792-799.)に寄稿した。 さらに24年度のパイロットケーススタディに引き続き、本年度は、日本におけるハーブ&アロマテラピー製品市場、および着物関連市場における新たなカテゴリの生成についても、経験的調査および分析を実施した 前者の成果は、日本商業学会関西部会(於:大阪市立大学)、神戸大学でのリフレクティブ研究会にて、「消費者による資源化に基づく市場のリフレーミング」というタイトルで報告を行い、さらにいただいたコメントを踏まえて、再検討した内容を元に執筆した論文は、「市場育成を通じた価値創造のマネジメント : 株式会社生活の木の事例を中心に」というタイトルで、『一橋ビジネスレビュー』の第61巻 第4号に掲載された。 また後者については、着物市場のユーザー及び事業者の双方に対する複数回のインタビューを実施し、その成果は、「着物関連市場の問題構造と可能性 -株式会社千總『總屋』の事例研究を手がかりとして」というタイトルで、『立命館経営学』第52巻 第2・3号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度以降は、年間に1つないし2つの事例研究の執筆を計画していたが、平成25年度は、(株)生活の木によるハーブ&アロマテラピー市場の形成と、着物関連市場における新たなカテゴリ生成に関する新市場創造の事例を十分に検討することができた。こうしたテーマについては、データの収集と分析を継続しているとともに、それぞれ公刊論文として仕上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、引き続き研究期間内に、(a)既存研究における知見の整理、(b)製品カテゴリの生成・変化についての経験的研究、(c)理論的考察と研究成果の公表、の3つを達成したいと考えている。ただし、(b)については各事例の具体的な分析手法として当初「定性的手法として事例の厚い記述」「定量的手法としてテキストマイニングによる言説 の分析」の2つを予定していたが、平成24-25年にかけて明確化された分析のための理論枠組みとの関係で考えると、テキストマイニング・言説分析よりもケーススタディを優先したいと考えている。さらに今年度が最終年度であるため、研究成果については引き続き、各学会で積極的に報告をし、論文としてまとめていきたい。2014年8月1-3日にAmerican Marketing Associationにてポスター発表を行う予定であり、また海外雑誌への論文投稿も計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
ハーブ&アロマテラピー市場の形成に関する経験的調査において、当初計画していた、インフォーマントへの追加インタビューの実施と、研究成果のフィードバックを当該年度中に実施できなかったため。 次年度に継続して調査を実施する。
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