研究課題/領域番号 |
23730427
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 史彦 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10329691)
|
キーワード | 利益マネジメント / 国際比較 / 金融発展 / 業種間比較 |
研究概要 |
本年度は,研究計画の3年目にあたる.個人レベルでの研究を進めつつ,効率性を高めるために,共同研究に参加して,研究の質のさらなる改善を図った.報告した論文は3篇,学会報告は4回である.「日本企業の利益マネジメントの傾向分析―国際比較の観点から―」では,日本の会計的ならびに実体的EMの水準とその時系列的な変化を、国際的な比較を通じて明らかにすることを目的とし,日本は会計的EMが実施される傾向にある一方で(32か国中5番目に高い水準)、実体的EMは抑制されている傾向にあることが見出された(32か国中最も低い水準)。また,"A cross-country study on the relationship between financial development and earnings management"では,2009年から2012年までの,37か国,54,178社のデータに基づき,金融発展 (financial development) が進んだ国においては,実体的利益マネジメントおよび会計的利益マネジメントの両者が抑制されることを見出した.また,上記に係る論文以外に,利益マネジメントの業種間比較に関する研究を進めており(学会報告,ディスカッションペーパーの刊行済み),日本の上場企業における業種間の利益マネジメントの水準の比較と,その差異に影響を及ぼす要因の分析を通じて,事業内容と利益マネジメントの関係を解明に取り組んでいる.そこでは,2004年から2011年までの25,208企業-年を対象とした分析を実施し,業種間で利益マネジメントの水準に顕著な差異が観察され,さらに,こうした差異の背景には,事業内容によって決定づけられる諸要因,すなわち企業に対する規制,企業規模,資金調達方法,会計上のフレキシビリティがあることが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間の研究期間の3年目が終了したが,本年度は学会発表3回(関連して参加した共同研究も含む),論文の公表(ディスカッションペーパーを含む)3篇をすることができ,概ね順調であると判断している.ただ,ここでの成果を最終年度の成果に結びつけることが課題となる.
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までで,コーポレートガバナンスの背後にある企業戦略と利益マネジメントの関係,国際的な観点から見た日本の利益マネジメントの傾向についてある程度の知見が得られた.本年度は,最終段階として,日本企業のコーポレートガバナンスと利益マネジメントの関係についての新たな知見を得ることが目標となる.
|
次年度の研究費の使用計画 |
購入予定であった文献資料等について,当年度の購入ができなかったため. 文献資料購入にあてる.
|