環境管理会計の中心的手法であるマテリアルフローコスト会計(MFCA)は、これまで手法の精緻化などの技術的側面の研究が進められてきたが、MFCAが企業に採用されることで組織にどのような変化をもたらすのか、手法それ自体の変化のプロセスについては明らかにされてこなかった。本研究では、約10年間MFCAを導入・活用してきたA社を対象に、MFCAが創造した可視性がA社の中でどのように受容・変容していったのかについて分析を行った。その結果、人的アクターだけでなく、組織体制や指標、中期経営計画などと連係し、活動が停滞した後もそれらと結びつくことでMFCAの精神が社内で維持されることが明らかとなった。
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