研究課題/領域番号 |
23730434
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加藤 典生 大分大学, 経済学部, 准教授 (50555068)
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キーワード | 原価企画 / 逆機能 / サプライヤーの疲弊 / 組織間管理会計 / T1.5 |
研究概要 |
本研究の目的は、「原価企画におけるサプライヤーの疲弊問題」を解決することである。その方法の一つとして、自動車メーカーであるバイヤーが実施している原価企画を部品メーカーであるサプライヤーにも導入することが考えられる。また、それは実務からもその導入の必要性を伺っている。しかしながら、サプライヤーへの原価企画の導入は一部の有力なサプライヤーを除いて、ほとんど進んでいるとはいえない。 そこで本研究では、どのような条件が整備されていれば、サプライヤーにも原価企画をスムーズに導入できるかを解明するとともに、サプライヤーへの原価企画導入が原価企画の逆機能の一つとされる「サプライヤーの疲弊」に及ぼす影響と、そこで果たす管理会計の役割を明らかにすることを狙いとする。 この目的を達成するために、平成24年度は、自動車産業のコスト競争力向上とサプライヤーの疲弊軽減を同時に意識しながら、サプライヤー特にあまり導入が進んでいない二次サプライヤーに、原価企画を導入するために、どのような問題が解決されなければならないかを実態調査を中心に検討してきた。 その結果、産業構造の変化に伴う一次サプライヤーの重要性の増大により、二次サプライヤーに対する原価企画導入の必要性が再確認され、そして、そうしたサプライヤーに原価企画導入を円滑に進めていくためには、自動車メーカー側の問題として、部品特性と設計部門の立地問題、一次サプライヤー側では、、取引関係、指導力問題。二次サプライヤー自身では、原価改善の水準の向上、原単位把握システムの未整備問題、開発力・資金力の問題、人材育成の問題に対処していくことが、重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画は、原価企画の実施状況についての実態調査を主としており、複数の企業等に対してインタビュー調査を行うことができ、その研究成果の一部は論文に反映されている。
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今後の研究の推進方策 |
実態調査の進展に伴い、より深いインタビュー調査が本研究課題を進めていく上で重要になってきている。これを反映して、平成25年の研究計画であるアンケート調査は特定業種あるいは個別企業を対象にしながら、並行してインタビュー調査を実施し、サプライヤーの原価企画導入がサプライヤーの疲弊に及ぼす影響を検討していくことを主とする。また、管理会計がサプライヤーの疲弊に及ぼす影響も考察していくことが重要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費…原価企画、機能論、心理学など、サプライヤーの疲弊問題と原価企画導入に関連する文献等の購入を予定している。企業等へアンケートなどの資料を送付するための消耗品、郵送費の購入を予定している。 旅費…業種、規模、階層、地域の違いを意識しながら、原価企画実施状況についてインタビュー調査を行うために使用する。 その他…本学に所蔵していない文献資料をコピーするのに使用する。
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