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2012 年度 実施状況報告書

減損会計の機能に関する包括的な実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 23730436
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

高橋 二朗  名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (70581619)

キーワード会計学 / 減損会計
研究概要

本研究は,減損会計の強制適用を主な分析対象として,減損会計基準がもたらした企業の会計行動の変化とそれに対する証券市場の反応を明らかにするものである。具体的な研究項目は,①企業が減損会計を適用する具体的な目的の解明,②企業の具体的な利益調整行動の変化の説明,③減損損失計上に対する証券市場の反応,④減損会計基準の導入前から強制適用に至るまでの実証結果の統一的な説明の4つである。
本年度は,上記のうち,まず,①を明らかにするために,減損会計の強制適用(2009年,2010年)を分析対象として,減損損失計上と経済的要因の関連性及び減損損失計上と利益調整のインセンティブとの関係について調査した。その結果,減損損失計上と産業調整済ROAの悪化という経済的要因が関連していること,減損損失計上と利益調整のインセンティブを表す代理変数(企業規模,ビッグバス)とが関連していることが確認された。
また,上記のうち③を明らかにするために,減損会計の強制適用(2009年,2010年)を分析対象として,財務諸表公表日前後の短期的な株価超過収益率と減損損失計上前の利益および減損損失の関連性を検討した。その結果,減損損失について追加的な株価説明力は確認できなかったが,このことは,Frantz[1999]のモデル分析と整合的な結果である。すなわち,業績が悪化している企業がある種の裁量的な減損損失を計上している場合(上記①の検証結果),Frantz[1999]のモデル分析においては一括均衡の状況にあるため,減損損失に情報価値がなかったものと解釈できる。
なお,上記①と③の結果はディスカッションペーパーとして公表されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要でも述べたとおり,強制適用における企業の具体的な減損損失計上の目的とその経済的帰結に関する一定事項を明らかにすることができている。しかしながら,当該成果はディスカッションペーパーの段階にあるため,今後,議論を重ねたうえで速やかに雑誌等に公表する必要がある。

今後の研究の推進方策

平成25年度は最終年度であるため,まず,減損損失の強制適用に関するこれまでの研究成果を取りまとめて学会発表や研究論文として公表していくことを目標とする。また,可能であれば,平成23・24年度の減損会計基準導入前,早期適用及び強制適用に関する研究成果を総括し,すべての研究成果を統一的に説明可能なモデルの構築を試みることとする。

次年度の研究費の使用計画

本研究の遂行にあたっては,実証研究という性質上,最新の研究動向を把握することが不可欠である。また,次年度は最終年度であるために,国内外の研究会・学会における研究成果の報告も必要である。そのため,次年度は研究会・学会に参加するための旅費として研究費を使用する予定である。
また,研究成果は海外へも情報発信することに鑑み,英語論文校正代としても研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 減損会計における経営者の裁量行動と経済的帰結2013

    • 著者名/発表者名
      高橋二朗
    • 雑誌名

      名古屋市立大学経済学会ディスカッションペーパー

      巻: No.572 ページ: 1-49

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公開日: 2014-07-24  

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