研究概要 |
2011年度の研究計画は、筆者がこれまで会計情報システムにアクルーアルの反転の要素を加えた上で、会計的保守主義に対する多期間モデルを構築することであった。また、その際の課題としては、申請者にも記入した2種類の情報システムをいかに組み合わせて比較するかが挙げられていた。 これに対して、まず、この文脈で唯一多期間モデルを使って分析を行った Haijin Lin,"Accounting Discretion and Managerial Conservatism: An Intertemporal Analysis", CAR, Vol.23 No.4を時間をかけて精査し、その内容を分析的会計研究会(慶應義塾大学)にて発表した。その結果、Brian Mittendorfにも指摘されているように、会計の論文としては成功していることは言えないことがわかった。これにより、保守主義研究への多期間モデル分析が困難性および困難となるポイントが理解できたと同時に、多期間モデルを成功させることの国際的意義が確かめられた。 一方で、自分で開発した情報システムに近いシステムを使って負債契約を分析したGigler et al."Accounting Conservatism and the Efficiency of Debt Contracts", JAR, Vol.47 No.3を精査し、単期間モデルにおいて自分自身の情報システムを負債契約だけに絞って分析するだけでは通用しないことを理解したが、同時に国際的な文脈にそって自分自身の研究がポジション取りをできることを確認することができた。 その他、まとまった時間をかけて、これまでの保守主義研究についての文献をほぼすべて収集し、サーベイを順次かけている。その結果として、今後のこの文脈での自分のポジション取りの場所を改めて設定することができた。
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