平成25年度は、過年度の成果をもとに、管理会計知識の変化を促進する持続的組織能力に着目して研究活動を行っている。類似した環境変化に直面した企業について、異なった反応が観察されるとき、これを説明する概念としてクリエイティブ・ルーティンやダイナミック・ケイパビリティといった概念が、管理会計変化研究にもたらす貢献について先行研究の文献調査を通じて検討を行っている。経験的研究によって明らかとなったことは、リサーチ・サイトにおいては、長期的なスパンで観察されるクリエイティブ・ルーティンと、短期的なスパンで観察されるクリエイティブ・ルーティンがあり、これらが変化志向的組織文化を形成しているということである。さらに、これら2つのモードは、Grafton et al.(2010)が指摘する、業績評価情報のフィードバック的利用とフィードフォーワード的利用に対応しており、知識の探索と深化に関する彼女らの知見と補完的である可能性が示唆されている。 これらの研究成果は、9th European Network for Research in Organisational and Accounting Change Conferenceおよび7th New Zealand Management Accounting Conferenceにおいて発表している。現在、これらの成果をさらに発展させて国際的学術誌へ投稿すべく執筆作業を継続中である。
|