最終年度にあたる平成25年度では、TCO(Total Cost of Ownership)やその周辺領域にかかわる文献(戦略論、組織論、マーケティング論など)のレビューや過去の実証研究をふまえた調査の準備を基礎として、学生を対象とした実験室実験や日本企業を対象とした質問票調査を実施し、TCOなどの会計情報が組織間での信頼形成や利益獲得に与える影響について、多様な方向から検討した。また、これまでの調査で得られたデータを統計的に分析することにより、バイヤー側を前提とした場合での行動や、サプライヤー側を前提とした場合での行動について、その共通性とともに、その異質性を把握することができた。具体的には、組織間での信頼と情報共有との関連性、および、他の関連要因が影響を与える程度の差異などである。さらに、海外の研究者との継続的な交流を通じて、研究プロジェクト全体の意義を向上させることができた。具体的には、海外の研究者とのミーティングを複数回にわたって実施し、研究の動向といった総括的な事項だけでなく、データ分析の方法といった具体的な事項について、意見を綿密に交換することができた。 なお、平成25年度の成果としては、組織間関係と管理会計との関連に焦点をあてた学会報告や研究論文(国内学会での報告1件:2013年、査読付き国内雑誌への掲載予定1件:2014年、査読付き海外雑誌への掲載2件:2013年など)をあげることができる。
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