研究課題/領域番号 |
23730459
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
新井 康平 群馬大学, 社会情報学部, 講師 (30550313)
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キーワード | 会計学 / 会計的知識 / 意思決定影響システム / 実験室実験 |
研究概要 |
計画2年目も,概ね順調に研究が進展した。特に重要な進展が見られたのは,①会計的知識が意思決定与える影響を確認するための実験室実験の結果について,分析を進めて論文として取りまとめた点,②会計的知識基盤の社会的状況を明らかにするために,大規模なウェブサーベイを行い,一般的な実践家における会計的知識の状況を明らかにした点である。 ①の会計的知識の意思決定の影響については,ボーナス配分実験という実験室実験を行い,会計的知識の大小が意思決定にどのように影響するのかを示した。結果として,(1)有利差異や不利差異などの難解な会計用語を含む業績報告書に基いて意思決定を行う場合,会計知識の多い被験者のほうがより差別的なボーナス配分を行う,(2)擬似的プロフィットセンター形式の業績報告書に基いて意思決定を行う場合は,被験者の会計的知識が影響を与えない点,の2点の発見事実があった。この結果については,現在論文に取りまとめて,査読付き学術誌に投稿中である。 ②の会計的知識基盤の社会的状況を明らかにするためのウェブサーベイでは,実践家を対象に会計の知識がどれだけ浸透・普及しているのかを分析した。その結果,会計的知識の普及状況についての実態が明らかになっただけでなく,その実践的帰結として,給与の増加や昇進があり得ることが統計的に確認された。この内容については,今夏の学会報告および次年度での論文化を目指す。なお,会計的知識の外的妥当性を含めた検証は,非常に新規性が高いものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,実験室実験の結果を論文として取りまとめた点,外的妥当性のための大規模ウェブサーベイを実施した点,など順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,ウェブサーベイの結果についての取りまとめを行いつつ,コホート研究のデータ入手,分析活動に入る予定である。これは,前回の科研費「現代生産管理会計の生成プロセスの探求(21830154)」で入手した,スタートアップ企業の会計状況が,その後の経営にどのように影響するのかを確認する分析である。商工リサーチなどから財務データを購入する必要もあり,この点の調整作業及び分析までが,次年度の研究の中心となると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては,研究の取りまとめ(学会報告)とフォローアップのためのインタビューなどに研究費を使用することとなる。また,コホート研究のために,スタートアップ企業の会計状況についてのデータを購入することも予定している。
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