本研究の目的は,現在の財務報告会計の源流として知られる19世紀イギリス鉄道会計の財務報告実務をテキストマイニングで分析し,主に固定資産に関する会計処理の変化を検討することにより,会計変化の本質を再検討した。平成25年度の研究実績は以下の通りである。 (1)「London and Birmingham鉄道における減価償却の議論と実務の変化」竹田義範・相川奈美編著『会計のリラティブゼーション』創成社。London and Birmingham鉄道会社の分析から得られた知見を例としてあげ,決算書上の固定資産価額の引下げの背景を検討した。 (2)「テキストマイニングを活用したGreat Western鉄道会社の会計変化の検討」大阪産業大学経営論集 第15巻 第1号,27-42頁。減価償却を実施する理由の変化について検討した。 (3)「株式会社制度確立期の財務報告実務-19世紀イギリス鉄道会社の会計実務-」中野常男編著『近代会計史入門』同文舘。近日発刊。London and North Western鉄道会社およびGreat Western鉄道会社の分析から得られた知見を例にあげ,減価償却実務と財務報告実務について議論している。 (4)「19世紀イギリス鉄道会社の固定資産に関する会計実務の変化」日本情報経営学会誌 第35号第3号に投稿,結果待ち。London and North Western鉄道会社の資本的支出と収益的支出の区別に関する会計処理の変化とその背景を,同社の分析結果をもとに議論している。 (5)「テキストマイニングを活用した19世紀イギリス鉄道会社における固定資産に関する資本的支出と収益的支出の区別」大阪産業大学経営論集,第16巻第1号に投稿,結果待ち。
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