研究課題/領域番号 |
23730465
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉高 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40550653)
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キーワード | 社会的入院 / 退院支援 / 介護施設 / 療養型病床 / 家族介護 |
研究概要 |
県内医療機関(ケアミックス型、療養型)に対する質問紙調査を実施し、山形県における類型別の社会的入院の実態を明らかにした。そもそも山形県の療養病床数は全国的に見ても過少であるが、村山二次医療圏も含め、長期入院患者の割合は全国的にみて高くない。なかでも庄内二次医療圏は180日超の長期入院患者の割合が26.3%にとどまり、村山二次医療圏は53.2%、置賜二次医療圏は67.6%である(全国値は1年超が過半数に達する)。 療養病棟入院患者の医療区分該当項目を見ると、医療区分2の場合は、尿路感染症、経鼻胃管・胃ろう等経腸栄養(発熱又は嘔吐を伴う)、頻回の血糖検査、喀痰吸引(1日8回以上)については全国値よりも10ポイント以上下回っている。医療区分3の場合も、中心静脈栄養と酸素療法については山形県と全国との間に差は見られないが、24時間持続点滴は全国42.0%に対して山形県は15.9%にとどまり、人工呼吸器も全国値8.8%に対して山形県は1.6%にとどまる。必ずしも医療依存度の高い患者を受け入れているわけではない。 実際に、入院時の理由は、「家族の介護困難、又は介護者不在のため」が30.1%、「適切な施設に空きがないため」が24.1%であり、少なくとも30%以上は必ずしも入院医療を必要とする患者ではない。なかでも、村山二次医療圏では「家族の介護困難、又は介護者不在のため」が49.7%に達している。 また、調査時点の全入院患者うち、40.1%が「退院可能」であるとされ、医療区分別では、医療区分3が22.0%、医療区分2が41.3%、医療区分1が57.7%に達していた。 このように療養病床には退院可能と判断された患者が一定割合で入院を継続している状況が認められた。こうした状況の結果、病期に応じた患者の円滑な流れが阻害され、一般病床にも慢性期患者が入院し続けることになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
24年度に実施した山形県における類型別の社会的入院患者数の推計は、研究計画では25年度前半までに行う予定となっており、順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施する予定となっている一般住民に対する質問紙調査については、「退院患者の追跡調査」として実施する。本調査実施に当たっては、すでに山形市内の病院から協力の内諾を得ており、計画通りのスケジュールで実施する見込みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の残額15,674円は誤差の範囲内であり、25年度も当初の計画に従い適切に研究費を使用する。
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