研究課題/領域番号 |
23730465
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉高 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40550653)
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キーワード | 退院支援 / 地域社会 |
研究概要 |
県内全DPC病院のDPCデータを収集し、退院患者の実態把握を行った。さらに、国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)』による人口構成の変動と掛け合わせることで、関連統計の将来推計を行った。 全国的に看取りの場所の確保が問題視されるなか、病院死亡退院患者数の将来推計値は、全医療圏で2035年まで増加を続け、2012年比で+10~16%に達した。MDC別で見ると、高齢者の場合、血液と呼吸器で死亡割合が高かった。他院への転院患者数は、基幹病院の場合、退院患者に占める割合は2012年値で3~9%台と幅があった。一部の病院を除き、高齢患者ではその割合が高くなり、15%を超える病院もあった。その結果、転院患者数の将来推計値は、最上二次医療圏を除き、2030年まで増加を続け、2012年比+4~8%に達した。高齢者の転退院割合をMDC別で見ると、リハビリのパスが整備されている外傷、神経の割合が高かった。介護施設入所患者数は、14%に達した1病院のほかは5%未満であり、1%台以下の病院も複数見られた。MDC別では、外傷、神経、呼吸器、皮膚の順に入所割合が高かった。ただし、将来推計値は、2035~2040年まで大きく増加し、2012年比で+10~27%に達した。 各種の在宅指導管理料療養指導については、必ずしもすべての項目で件数が伸びているわけではなかった。一貫した伸びを見せているのは、在宅自己導尿、在宅自己人工呼吸、在宅持続陽圧呼吸療法のみであり、これらも1年あたり数件程度の伸びであった。退院調整加算(旧急性期病棟等退院調整加算)の件数は、2病院で突出した値を示しており、いずれも2012年度に件数が大幅に上がっていたが、バーセル・インデックスも倍以上に上がっていた。他方で、ゼロ件か、ほぼゼロ件の病院も複数見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度後半より実施予定であった高齢退院患者を対象とした在宅医療・介護に係わる実態調査(質問紙調査)に向けて、今年度調査より実施予定二病院の現状把握を行うとともに、基本調査票の設計を行っており、当初の研究目的の達成に向けて、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書の通り、山形県内2病院の高齢退院患者を対象に質問紙調査を実施し、これまでの医学的研究では十分に扱われることの無かった労働、家族構成、住環境、地域社会などの社会学的要因を説明変数として加えた上で在宅復帰への阻害要因の同定を行う。
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