本研究では,イギリスのコミュニティケア改革以後の在宅介護home care,日本の介護保険制度以後の訪問介護労働を対象に、準市場型システムが在宅介護労働に与える影響について明らかにした.両国とも「生産効率性」がサービスの短時間化と低価格化によって達成されており,結果として最低賃金をわずかに上回る程度の民間の在宅介護労働をうみだしている.また重度者への「重点化」政策のなかで,短時間の業務的ケアが増加し,関係性の構築をベースにしたケア提供を不可能にしている.準市場システムでは,政府によるサービス資源配分のコントロールが「ケア労働の質」を低下させている.
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