社会学を中心に関連諸分野における理論蓄積を検討しつつ、実証分析を重視して研究を進めた。具体的には、台東区上野の商店街という非常に流動性の高い地区における、ニューカマー外国人を含めたコミュニティ形成の研究を中心に、中国・大連や富山県などでの調査を行った。 一方、研究期間直前に起こった東日本大震災で、もう一つの主要な調査事例地と位置付けていた千葉県柏市は、放射能のホットスポットという予想外の災禍に見舞われた。その中で、市民の地産農産物への忌避行動の研究は、現代的な移動と定着を考える上で格好のテーマであり、柏市民と農業者の協働的な問題解決に実践的に取り組み、福島県の関係者とも積極的な研究交流を行った。
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