研究課題
最終年度には、中国に進出した日本企業で働く中国人ワーカーに対する質問票を実施した。上海とその近郊(南方)に進出した日本のものづくり企業4社からご協力をいただき、合計228サンプルを回収した。また、北方に関しては、大連理工大学・方明豪准教授のサポートを受け、大連とその周辺に進出した日本企業で働く306名からサンプルを回収した。南方、北方をあわせて534サンプルを回収した。近年、中国における賃金高騰によるワーカーのデモ、さらには尖閣諸島の領土問題に端を発した日中間の政治的軋轢により、調査にご協力いただく企業を探すのは、大変に難しかった。そう言った意味で、このような日中関係があまり良好とは言い難い時期にもかかわらず、日本企業で働く中国人一般ワーカーから質問票を回収することができたのは大変に意義深い。また、昨今の中国における法定最低賃金が上昇するなかで、今後の日本企業にとっては、一般ワーカーの育成が求められるなかで、中国人ワーカーの労働観を知るために、量的なデータを集めることができたのは、大変に意義深いことである。これまでおこなってきた単純集計の結果からは、地域(南方か北方か)による中国人ワーカーの労働観の違いも見られたものの、それ以上に個別の企業ごとさらには、勤続年数、学歴の違いによる労働観の違いが大きく立ち現われていた。詳細なデータ分析は、今後おこなっていくことになるが、これまでの単純集計の結果からは、さまざまな要因(個人の属性要因、企業要因)が労働観に影響を与えていることがみえてきているため、今後は、多変量解析を用いてより複雑で多面的なデータ分析をおこない、日本企業で働く中国人ワーカーの労働観を分析し、今後の日系ものづくり企業の中国での人材育成の指針となる結果を導き出していく予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Management and Business Administration. Central Europe
巻: Vol.22,No.1(124) ページ: pp.70-87
10.7206
組織科学
巻: Vol.46, No.4 ページ: pp.19-28