研究課題/領域番号 |
23730471
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田辺 俊介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30451876)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 排外性 / ナショナル・アイデンティティ / 政党支持 / 国威信 |
研究概要 |
本年度は文献による先行研究の確認とともに、その知見を整理した。また同時に複数のデータセットを用いた分析を進めた。 具体的には、平成20年度から22年度に受けた科学研究費(若手研究B)によって得た調査データや、国際社会調査プログラム(ISSP)・日本版総合社会調査(JGSS)などの公開データの分析を行い、排外性やその関連要因に関する研究を進めた。 それら研究の成果としては、まず日本比較政治学会(2011年6月於北海道大学)において「ナショナル・アイデンティティと政治意識の関連構造の国際比較:政党支持と政治的右派・左派との関連に着目して」と題する報告を行った。内容としては、国際社会調査プログラムを用い、日本・韓国・ドイツにおけるナショナル・アイデンティティや外国人への排外性と政治意識の関連を検討したものである。 また同じく国際社会調査プログラムのデータを用い、日本と韓国のナショナル・アイデンティティの概念構造の異同を検討し、その成果を「日韓のナショナル・アイデンティティの概念構造の不変性と異質性の検討」として『日本社会学評論』に掲載した。その知見として、欧米諸国とは異なり、日本と韓国においては強い政治的なプライドが排外性を強める傾向が示され、その要因を「単一民族神話」の浸透や権威主義的体制の経験の影響と解釈した。 さらに外国人への排外性の規定要因の分析を行い、その成果をアメリカ社会学会の2012年次大会での報告を目指して"The effects of group positions on individual attitudes toward foreigners: Analysis of Japanese case"と題する論文を投稿し、採用された。その内容としては、同じ「外国人」といっても、対象の出身国の地位認知によって排外性の規定要因が大きく異なることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画においては、国際比較研究は平成24年度の課題であったが、平成23年度においてもいくつかの国際比較研究を前倒しで行うことにとって、複数の研究成果を挙げることができている。 また日本国内データの分析についても、その成果の一つがアメリカ社会学会のの年次大会における報告が受諾されており、当初の計画よりも早いペースで研究を進めることができている。 ただし、国際比較分析を早めた分、国内の複数のデータの精査などが不十分な点が出ており、その点については平成24年度の課題として取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
排外性に関する研究は、特に欧州においてimmigrantsへの態度研究や極右政党支持者の分析として、計量的社会科学的研究の最も主要なトピックとなっていると言えるほど、非常に盛んである。ただし、それらの知見が欧州内にとどまるものなのか、それとも日本も含めた世界中に適用可能な知見であるのか、という点の検討は不十分である。 そのため、本研究を進める中で、海外の学術雑誌への成果の掲載を目指すことで、日本発の知見を世界の学会に発信することを考えており、そのためにも英語による論文執筆が必要である。 そのため、今後の研究の推進方針としては、まずは英語による学会報告とともに、可能な限り英文による論文執筆と投稿を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
アメリカ社会学会の2012年次大会における報告が受諾されたことから、その渡航・滞在費用、加えてその学会参加費用として30万円ほどの支出が必要となる。 また、投稿用論文を海外の査読誌に投稿する前に、高いクオリティの英文校正を専門業者に委託することを考えており、そのために20万円ほど支出する予定である。 それらに加えて、最先端の先行研究を引き続き検討していくためにも、本年度も関連文献の購入が必須となる。 以上のように、先行研究の検討、海外における成果報告、英文雑誌への投稿の3つに対して、主に本年度の研究費を支出する予定である。
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