本研究では、主に2007-2013年のパネルデータから日本における性別役割意識の変動とその規定要因を分析した。分析から得られた主な知見は、次の3点となる。一つは、日本における性別役割意識はかなりの程度可変的な意識であり、男女ともに結婚の前後でもっとも大きな変動がみられること。第二に、女性では、性別役割意識は就業選択を規定するよりも、現状への追認として後から形成される傾向があること。最後に、男女に共通して、「幸福な家庭生活」の重視が性別役割受容に結びつくこと。就労支援を通じて家庭のあり方の多様性を広げ、現状の一元的な家庭像を解消していくことが、未来世代に向けた重要な政策課題となるだろう。
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