研究課題/領域番号 |
23730480
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
帯谷 博明 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (70366946)
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キーワード | ベトナム農村 |
研究概要 |
本研究では、経済成長が著しいベトナム農村に注目し、南北デルタ地域の農村集落を対象としたフィールドワークをもとに、市場経済導入前から現在に至る約35年間の農村社会と住民生活、環境利用の変化がいかなるものであったのかを明らかにすることを目的にしている。。具体的には、ベトナム戦争後の社会基盤整備やドイモイ政策、経済のグローバル化という各時代の外的要因と、地域コミュニティの構造や特性(内的要因)がどのような形で住民の生活・生業と自然観、環境利用に影響をもたらしているかを解明し、水環境を中心とした当該地域の環境保全のあり方を、地域間比較を行いつつ社会学的に考察する。 今年度(24年度)は、以下の2点を中心に調査・研究を進めた。 1.ベトナム南部のメコンデルタ・ティンジャン省チョガオ県のA集落において、住民の生活史に関するインタビュー調査を進めた。とくに、農村ジェンダーの視点も加味し、村の女性の生活史を、労働と自然利用に焦点を当てながら聞き取り調査を行った(2012年9月)。 2.加えて、1との比較研究の観点から、ベトナム北部の紅河デルタ・ハイフォン市郊外のHoa Dong村において、予備調査を進めた(2012年12月)。具体的には、過去の写真等の資料収集、農協や村の代表者への聞き取り調査、現地での水利用調査を行い、農業および集落、地域生活の現状と変化を把握した。 以上の調査と過年度の研究を踏まえて、「ベトナム・メコンデルタ農村の変容と現代的課題(II)」を主題とする論文を作成し、論文が公刊された(2013年3月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査はベトナム北部の調査地選定と予備調査の実施を含め、当初の計画通り2回行っている。研究論文の執筆・公刊にいたるまで、ほぼ当初の予定通り進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と今年度に行った調査を継続しつつ、次年度は北部農村でのフィールドワークを重点的に行い、一次資料の収集と分析を進めていく。 さらに、タイ北部の農村や日本の事例に関する既往研究の知見を活用して、水環境を中心とした当該地域の環境保全のあり方を社会学的に考察し、政策科学としての環境社会学の分析枠組みの彫琢を進める。 あわせて、関連学会・研究会等での発表や学術論文の投稿・公表など、多様な形での成果発表・発信に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
①当該未使用額が生じた状況 消耗品(文具類)の発注遅れに伴い、2,661円の未使用額が発生した。 ②25年度請求額と合わせた使用計画 25年度の予定額とあわせて、速やかに上記消耗品の発注を行う。
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