研究課題/領域番号 |
23730483
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
増田 仁 熊本大学, 教育学部, 講師 (80510560)
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キーワード | 子どもの生活 / 食生活の「改善」 |
研究概要 |
学校給食の戦後史を跡付けながら、とくに「高度経済成長期」に子どもの栄養に対してどのような国際間や家政学者による政治的な力が働いていたのかを分析した。夏休みに九州、とくに熊本での生活改良普及員や保育所関係者、当該期に幼児・児童であった人々へのインタヴュー調査を実施した。具体的な質問項目として、生活改良普及員や保育所関係者には、母親や子どもに対してどのような食生活上の「指導」を施そうとしたのかを聞いた。当該期に幼児・児童であった方にはこれらの「指導」をどのように受け止め、実践したのかを聞いた。そしてテープ起こしを行い、食の「合理性」をめぐる両者の葛藤をデータから浮き彫りにしていった。研究成果を日本教育社会学会にて発表し、論文にまとめた。 冬休みおよび春休みには、東日本大震災校の子育てネットワークの形成過程に関する調査を行った。具体的な内容としては、震災後九州に母子避難してきた人の子育ての在り方、関東で子育てをし続けている人の子育て観、福島(具体的には会津若松の仮設住宅に住む方)で生活を続ける方の子育てのありようについてインタヴューを行った。とくにどのようにネットワークを形成し、情報交換等を行っているのかに焦点を当てて話をうかがった。平成26年度も引き続きこの研究を進め、学会で成果を発表するとともに、論文にまとめていく予定である。 これまでの研究成果をまとめ博士論文を作成し審査を経て、京都大学博士(教育学)を授与された。3月末には博士論文を著書として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「高度経済成長期」における子どもの食生活に対して、学校や地域社会がどのように介入していったのかをインタヴュー調査から実証できた。さらに子育てネットワークの現代的意味についても調査を進めつつあり、研究は順調に進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
「高度経済成長期」から現在までの子育てネットワークの形成過程を九州地方と東北地方の都市部と農村部で実証し、結果を比較検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
業務上の関係から、計画通りの長期の調査が実施できなかった。 次年度は東北での調査を長期間実施し、当該地方の子育てネットワークについて実証する予定である。
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