従来、GCについては米国における研究が先行し、富裕層が地域社会から離脱し、隔絶した生活環境をつくるものとされた。しかしながらバリ島においては、内外の流動性を一定程度保持し、重層的なセキュリティを担保する「ゲート空間」が構築されていた。これは、バリ島における伝統的に居住区域において門が重層的な意味空間を成し、公共性を保持する空間的特質をもってきたことの延長に位置付けられる。もっとも、近年では、バリ島の文化的意匠に市場的価値をもたせたいっそう排他的なGCも現れており、両者の分水嶺とその条件についてはいっそうの研究の展開が必要とされる。
|