研究課題
最終年度は、これまでの一次資料に加えて同時代的な二次文献を中心に調査し、世界的な受容過程において重要な役割を果たしたパリ・コネクションの機序を解明した。具体的には、世界中から厖大な労働運動資料を収集しているアムステルダム社会史国際研究所IISHの保有するオペライズモ関連資料から受容史上未解明の事実関係を精査し、イタリア現地のArchivio Primo Moroni等のアーカイヴを再訪問のうえ、次いで理論形成における調査方法論の視角からIISH資料を再調査したのである。文献学的な調査結果については予定どおり『現代思想』誌上ガタリ特集号に発表した他、現代社会論としてもアクチュアルな内容面については、イタリアからフランコ・ベラルディを招聘しオペライズモ研究会の総力をあげたラウンドテーブル会議を開催、その講演予稿と討論記録は日本語に翻訳・編集のうえ一般誌に掲載した。なお、都市論としては大阪の現在についてミラノの社会センターおよび大阪府立大学上方文化研究センターで口頭報告した他、都市騒擾を階級文化の視角から分析した共同研究を英文共著書の最終章として刊行予定である。以上の成果をもって、オペライズモの理論形成を検証し、その世界的な受容過程を解明するという研究計画を完遂することができた。だがオペライズモ研究の空白を埋めるというグローバルな研究動向に照らせば、より深く社会学的にも重大な課題が見出だされたことを報告せねばならない。近年再刊の相次ぐ基本文献を再読すれば分かるとおり、その理論形成には具体的な社会調査に基づく方法論の再考が大きく寄与していた。ところが、そうした過去の調査実態は必ずしもよく知られていないという問題が判明したのである。この解明をこそ次なる研究課題としたい。
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現代思想
巻: 41-9 ページ: 184,197
インパクション
巻: 192 ページ: 91,101
巻: 192 ページ: 102,113
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