本研究は、日本・中国・韓国・台湾・シンガポール・タイのテレビ広告に現れるジェンダー役割・家族像・外国イメージの内容分析を中心とした国際比較を通じて、社会と広告の相互関係の解明をめざすものである。2011年から2013年までの国際比較の分析結果から、広告とは、当該社会における既存の社会的な価値意識を直接的に反映するものではなく、新たな社会変容のあり方を先取りすると同時に、来るべきライフスタイルや価値意識を指示するものである。つまり、広告は、消費社会において「身近でありつつ理想的なイメージ」というシンボルの創出をとおして、現実のある姿と本来のあるべき姿とを結びつけているということが明らかになった。
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