本研究は台湾系華人を対象に、彼らのコミュニティ・ネットワークにおけるメディアの位置づけを検討し、その機能的変化を探ることが目的である。 まず、華僑のメディアをエスニック・メディアとして捉え、その定義を文献調査と理論概念の検討から考察した。また、フィールドワーク調査では日本各地と台湾を訪ね、関係者にインタビューした。様々な歴史的・社会的文脈の考察から、台湾系華人の独自なアイデンティティの形成およびメディア(放送、新聞、出版物)の役割を明らかにし、また、出身地、言語、家族、職場、教育程度などの要素の考察を通して、台湾系華人が19世紀後半から持ち続けているアイデンティティの変容を一部把握できた。
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