自己決定が困難と言われがちな知的障害・発達障害当事者の自立生活への支援活動団体での参与観察を継続して行い、また関連する諸団体での聞き取り調査等も行うことで、自己決定という概念そのものを問い直した。自己決定はある一定の時空間だけでなされるものではなく、長いプロセスの中でさまざまな条件と本人なりの受けとめ方、周囲のかかわりの中でなされるものであり、またその後も繰り返しやり直されていくものである。それを支援するとき、支援者には一定の同一性と同時に、内部での複数性を必要とする。そのためには組織内部に偶発的な要素(具体的には「できない」スタッフや「無駄」に見える時間)を取り込むことが必要である。
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