本研究の目的は、現代日本における森林荒廃問題の発生・拡大のメカニズムを、ドイツの林業、森林管理の比較分析と、日本におけるフィールドワークを通して検証することにあった。 日本とドイツの森林管理が所有規模や保有資源の状況など、似通った条件のもとで行われているにもかかわらず、日本において森林管理の持続可能性が失われつつある背景として(1)長期的な森林管理に組み込むという点で、木材の生産と供給における林業経営の制度的配置をめぐる試行錯誤を欠いていること、そして(2)ローカルな木材売買のネットワークに対する日本の政策当局の一貫した批判的態度とそれに基づく木材市場の再編戦略を指摘できることが示された。
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