研究課題/領域番号 |
23730509
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
石田 あゆう 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (70411296)
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キーワード | 女性 / 雑誌 / メディア / 戦争 / イメージ / 広告 |
研究概要 |
昨年に続き、戦時期婦人雑誌を広告メディアとして見なす視点から、女性向けメディアと戦争における女性の動員についての考察を深めている。具体的には、『広告メディアとしての戦時婦人雑誌-『主婦之友』を中心に』(単著)の刊行に向けて、その内容を「女性文化研究会」、「観光とメディア研究会」等で報告を行った。 1937年の日中事変以後、各雑誌メディアが時局を喧伝するメディアとなっていたことが知られている。なかでも、婦人雑誌は日本の戦争を積極的に後押しする「プロパガンダ」としてとくに機能したと指摘されてきた。婦人雑誌ジャーナリズムの戦争への主体的・積極的なかかわりというこの問題について、その誌面が、「プロパガンダ・メディア」とされる内容へと導かれていった論理を、上からの言論統制と言う観点ではなく、広告の自主規制や婦人雑誌のメディアイベントとの関連から調査している。 本研究は戦時下、内容的に「プロパガンダ・メディア」へと至った婦人雑誌の背景には、広告抜きには存在しえなくなっていった「マス・メディア」としての発達がある。しかし、一般的に雑誌メディアは読者を統合するというよりも、その関心を分断することによって多様化するという特徴を持つ。そんなメディアが社会的に女性動員メディアと機能した過程を検討している。 女性雑誌が今なお現代を代表する広告メディアである。今日の女性雑誌読者の社会意識と広告との関係性にも通じており、女性雑誌メディアの特徴、機能についても併せて歴史的社会学的考察を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家庭の事情、および研究者自身の体調不良から、予定通り出張が行えなかったため、研究はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に続き、戦時期婦人雑誌を広告メディアとして見なす視点から、女性向けメディアと戦争における女性の動員についての考察を進め、『広告メディアとしての戦時婦人雑誌-『主婦之友』を中心に』(単著)の刊行を目指す。 昨年、資料収集や確認のための出張が実行できなかったことが研究の遅れにつながっているため、その点を今後の研究遂行の上での課題となる。ただ、資料調査はほぼ目途が立っているため、その時間の確保を行いたい。幸い、大学側より秋学期に半期の国内研修期間が与えられているため、研究の達成に問題はないと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、これまで収集した資料に基づき、再調査のための出張を行う予定である。そのため旅費が例年よりも増加する見通しである。また引き続き、必要資料、図書の購入を行う。
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