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2013 年度 実績報告書

地球温暖化問題のテクノクラシー的構造に関する科学技術社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730512
研究機関関西学院大学

研究代表者

立石 裕二  関西学院大学, 社会学部, 准教授 (00546765)

キーワード社会学 / 環境社会学 / 科学社会学 / 科学技術社会論 / 地球温暖化問題 / テクノクラシー / ライフサイクルアセスメント(LCA) / 古紙リサイクル
研究概要

環境問題の政策決定における「テクノクラシー的構造」とは、行政と一部の専門家が政策を決める上流部分とそれを実行に移す下流部分が分離し、下流から上流へのフィードバック回路がない状態をさす。こうしたテクノクラシー的構造について、本研究では大きく2つのアプローチから研究を進めた。
1.古紙リサイクルの環境負荷をめぐる議論における専門家・専門知の役割に関する分析。地球温暖化対策をめぐる議論は、ライフサイクルアセスメント(LCA)のような科学的推論の結果として出てきた数字が脱文脈的にぶつかり合う「空中戦」になりがちである。古紙リサイクルをめぐる論争を事例にして、こうした「空中戦」では、意見・立場の違いが議論の深まりにつながらないこと、被害者・消費者・生産者のいずれのリアリティからも乖離しがちであることを明らかにした。天下り的に与えられがちな数字に対して、異議申し立てをする余地をいかに確保するのかが重要な課題となる。2013年度には4件のインタビューを実施し、このテーマに関して2件の学会発表を行った。年度内の投稿には間に合わなかったが、現在はそれらをもとにした論文の投稿準備中である。
2.環境問題におけるテクノクラシー的構造に関する理論的検討。専門家主導で政策が決まっていく中で、いかにそれに対する異議申し立ての回路を確保するのか、という視点から検討を進めた。エネルギー問題に関する社会的意思決定プロセスの分析の一環として、原子力発電のリスクについて分析した結果、1)科学研究のもつ多様性が知の流通・利用の局面で不可視化されていくメカニズム、2)その中で批判につながる多様性を確保することの意義、3)「国際的合意」を前面に出して、自らの立場が抱える不確実性に言及しないことがもたらす議論不全、といった点を明らかにできた。2013年度にはこのテーマに関して2件の学会発表を行い、1本の論文を公刊した。

研究成果

(5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 放射線被曝問題における批判的科学2013

    • 著者名/発表者名
      立石裕二
    • 雑誌名

      年報 科学・技術・社会

      巻: 22 ページ: 31-46

  • [学会発表] 放射線被曝問題における科学の批判的多様性2013

    • 著者名/発表者名
      立石裕二
    • 学会等名
      環境社会学会第47回大会
    • 発表場所
      桃山学院大学
    • 年月日
      2013-06-01
  • [学会発表] 再生紙を使っても温暖化対策にならない?――シンプル化された議論空間における批判のあり方

    • 著者名/発表者名
      立石裕二
    • 学会等名
      科学社会学会第2回年次大会
    • 発表場所
      東京大学
  • [学会発表] 再生紙を使っても温暖化対策にならない?――シンプル化された議論空間における批判のあり方

    • 著者名/発表者名
      立石裕二
    • 学会等名
      第86回日本社会学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
  • [学会発表] 放射線影響をめぐる討議プロセスにおける「国際的合意」と負の自己言及

    • 著者名/発表者名
      立石裕二
    • 学会等名
      環境社会学会第48回大会
    • 発表場所
      名古屋市立大学

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公開日: 2015-05-28  

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