環境問題における「テクノクラシー的構造」、すなわち行政と一部の専門家が政策を決める「上流」とそれを実行に移す「下流」が分離し、下流から上流へのフィードバック回路がないという構図について、知識社会学的アプローチを用いて分析した。「古紙偽装」問題に関する議論を分析した結果、科学的推論の結果でてきた数値を脱文脈的にぶつけ合う「空中戦」になっており、生産者・被害者・消費者のいずれのリアリティからも乖離していることが明らかになった。また、テクノクラシー的構造についての検討の結果、「国際的合意」を前面に出して、自らの立場が抱える不確実性に言及しないことが議論不全をもたらしうることを明らかにした。
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