研究課題/領域番号 |
23730520
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
古井 克憲 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10553018)
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キーワード | 知的障害者 / 当事者活動 / セルフ・アドボカシー |
研究概要 |
本研究の目的は、知的障害者の当事者活動の分析及び知的障害当事者への生活史調査に基づき、知的障害者の体験知と技術を明らかにすることである。 本年度は、地域生活支援組織「Aの会」の当事者活動による「自立生活プログラム」のマニュアル作成に参与した。全身性障害者が中心に運営する自立生活センターによる自立生活プログラムは公表されているものの、知的障害者によるものは十分に明らかにされていない。その中で、実践現場からの知識創造に貢献した点で意義があると考える。Aの会の自立生活プログラムでは、プログラムのリーダーである知的障害者のセルフ・アドボカシーが彼らやプログラム参加者のエンパワーメントにつながることはもとより、プログラムの支援者が知的障害者が社会的抑圧を経験してきたと再認識していることが示された。 さらに、生活史調査の研究方法論を検討するため、知的障害者を対象にインタビュー調査を採用した国内外の文献を収集し、レビューを開始した。Atkinson(2004)は、知的障害者は時間・空間・サポートや練習の機会があれば自らの経験を語ることができ、語ることがエンパワーメントにつながると述べている。このように先行研究をレビューすることは、これまで十分に明らかにされてこなかった、インタビュー対象となる知的障害者の「知的機能」の捉え方や、インタビュー時の工夫の有無、結果のまとめ方、調査対象者との関係性などを分析して方法論的に考察する点で意義があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
知的障害者の当事者活動の分析及び生活史調査に関するレビューについてはおおむね順調に進んでいる。生活史調査の質問項目は作成済みであり、和歌山大学の研究倫理審査会の審査を受け、調査実施が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
知的障害者に対してインタビュー調査を用いてまとめた先行研究の分析を続け、論文化する。同時に、調査対象者を実践現場の協力を得て選定し、生活史調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献や研究発表のための旅費、資料やデータ整理のための研究協力者の謝金にあてる予定である。
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