本研究の目的は、知的障害者による体験知と技術に基づく自立生活モデルを開発することである。当事者活動及び生活史調査の分析の結果、障害者が自らの体験知や技術を表明するためには、当事者活動でのセルフ・アドボカシーの機会の提供、日常生活において彼/彼女らの意思を尊重する支援や環境が必要となる。とくに障害者による「自立生活プログラム」の実施に効果があった。本研究で導き出された体験知と技術は、障害当事者自身が、失敗体験を伝えられること、自分がしていることと家族や支援者がしていることを意識化することであった。以上の結果は、知的障害者の自立生活において当事者活動の重要性を改めて示した点に意義がある。
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