研究課題/領域番号 |
23730527
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 健次 山梨県立大学, 人間福祉学部, 講師 (70405116)
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キーワード | 動作解析 / 介助動作の標準化 / コツの視覚化 / 介助動作教育 / 介護実務者教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、自立支援型の移乗介助技術を学習者自らの気づきをもとに理解し習得する教育手法を開発することである。本研究の背景には多様な介護ニーズをもつ要介助者が増え、動作介助を通じて自立支援ができる人材が大量に必要とされているにもかかわらず、その習得のための教育手法が確立していないことが存在している。 平成24年度は前年度に引き続き現在実施されている様々な立ち上がりと移乗の介助方法を先行研究論文、介護福祉士養成テキスト、介助技術解説書、教育用DVD等から収集、分類整理した。また、今年度実施予定内容であった 1.自立者の端座位からの立ち上がり、移乗動作映像を撮影し、動作解析画像を作成する 2.自立動作の概念を整理し、身体の動きを具体的に記述化する 3. 現在実施されている移乗動作介助を、動作解析の手法を用いて自立支援という観点から検証するの3点について実施し、動作解析画像を蓄積し、検証を行った。 また、介護現場の実務者による介助技術の習得・向上を目的とした勉強会と連携し、6月~11月の毎月一回、計6回の勉強会に参加し、参加者および講師の介助動作を撮影した。現場の要望に対応し、使用頻度の高い介助技術の習得を目的とした内容の研修プログラムを共同作成する見通しが立った。具体的には次年度作成予定のモデル研修プログラムについて、勉強会での参加者の介助動作及び講師役の模範介助動作を撮影し、撮影したデジタルデータから動作解析画像を作成した。さらに解析画像を用いて参加者と講師の動作比較を行い、介助上のポイントを文章化することを試みた。動作習得のために有効と考えられる画像や、研修内容についての意見交換会を勉強会とは別に2度にわたって実施し、実践的なプログラム作成とするための参加者側の意見収集を行った。この点については計画年度よりも早く実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介護の実践現場と連携した介助動作撮影や、現場で要望される研修内容等の実情把握については予定以上に順調に進行した。 一方、撮影した介助動作の動作解析画像作成については、当初業者に委託する計画であったが、動作解析ソフトウェアの取り扱いと、本研究で必要となる画像を理解し作成する、という双方を兼ね備える人材がおらず、研究者本人が一人で実施する事となった。撮影した画像データは膨大な量になり、動作解析画像作成に関しては若干遅れが見られる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は過去二年間の成果を盛り込んだモデル研修プログラムの作成、教育用画像の作成、およびプログラムの試行と効果の検証を行なっていく予定である。幸い現場実務者との連携は順調であるため、早い段階で試作版の教育用映像を作成し、それをたたき台として意見収集を行い、研修で実際に用いてフィードバックを受けた上でバージョンアップをはかる予定である。今年度に関してはこれまで以上に介護従事者の意見を取り込み、より実践的な研究結果を得られるよう研究を進行させたい。 24年度は動作解析画像作成に多くの労力を費やす形となったため、学会発表等研究成果を外部に提示することができなかったが、本年度はこれまでの経過を発表し、研究者からの意見を広く得ていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費執行に関しては動作解析画像作成の外部委託が困難であった関係上、自前で処理を行うための機材購入を優先し、旅費等で支出する事がなかった。25年度については物品費での支出はほぼ行わず、研修実施や学会出張等での旅費支出が大勢を占める予定である。 動作解析画像作成については、作業の一部だけでも外部に委託できないか引き続き検討を行い効率化を図る予定である。
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