研究課題/領域番号 |
23730528
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
中根 成寿 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (40425038)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 知的障害者 / パーソナルアシスタンス / 重度訪問介護 |
研究概要 |
本研究では、知的障害者の地域生活支援のために、日本においてダイレクトペイメント制度とそれを利用したパーソナルアシスタンス制度の導入にむけた課題を整理することを目的としている。その目的のための具体的課題として、23年度は、2つの研究課題に主に取り組んだ。1つめは、北海道札幌市が2010年4月より、障害者自立支援法の範囲内で、身体障害者むけの「重度訪問介護」に限ってDP制度を導入事例の調査である。2つめは、障害者自立支援法のサービスにおいて、パーソナルアシスタンスともっとも近いと考えられる「重度訪問介護」の支給実態調査である。以下2点に分けて成果を報告する。1.札幌市におけるパーソナルアシスタンス制度の研究・・・札幌市におけるパーソナルアシスタンス制度の調査は、本研究課題採択以前より継続しており、本研究課題によりよりいっそうの調査の進展を図るべく、23年度は札幌市において制度利用者6名に対して、ヒアリング調査を行った。この調査における成果報告は24年度に行う予定である。23年度には、第59回日本社会福祉学会(2011年10月8,9日、淑徳大学)にて「日本におけるダイレクトペイメント・パーソナルアシスタンス制度にむけた課題整理-札幌市パーソナルアシスタンス制度の現状と課題から-」を口頭で報告した。2.京都府における重度訪問介護支給決定時間調査・・・日本においてパーソナルアシスタンス制度の基盤であると考えられる重度訪問介護は、自治体ごとに支給決定時間に差があることが既に指摘されている。本調査によって自治体ごとの支給決定の偏りが明らかになった。さらに支給決定の利用率は京都府の平均で6割程度であることが明らかになった。この調査における成果報告は24年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に計画していた、札幌市のPA制度の利用者調査を順調に実施できたことが概ね順調に進展している要因である。また当初計画には盛り込まれていなかったが、札幌市調査の結果、重度訪問介護を利用した地域生活では、事業者の運営体制(特に休日や夜間の利用可が可能かどうか)が利用者の生活に大きな影響を与えることが明らかになり、またサービス支給決定時間の地域間格差(札幌市のPA制度も行政による支給決定時間の基準上限が制度利用の主な動機となっていた)も指摘されたため、急遽、京都府において重度訪問介護支給決定時間調査を実施した。これにより新たな研究課題である、支給決定時間の事業所を通じた利用率(特に休日と夜間にサービスを利用できるかどうか)が研究課題の中心として、次年度以降に大きな調査課題となることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、札幌、京都での重度訪問介護調査を踏まえて、知的障害者とその家族が重度訪問介護を利用する際の利用方法や利用率、プラン作成支援などを調査する予定で有り、また先進地域であるイギリス(ロンドン地域を予定)の視察調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度予算は主に国内での調査、研究報告、情報交換にかかる旅費と、海外視察に関わる旅費、宿泊費、通訳等の雇用などに充てられる予定である。
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