研究概要 |
本研究の目的は、知的障害者の地域生活支援を充実させるための政策課題の整理である。入所施設が減少傾向にある現在、次の課題は親亡き後の生活支援である。そのためには、①本人中心のケアマネジメント、②柔軟なサービス供給体制、③高齢化した親を含めた家族支援の3点が重要であると考え、障害者総合支援法における重度訪問介護の利用拡大をその具体的方法として提言した。 具体的研究成果は、①平成23年度を中心に行った「札幌市パーソナルアシスタンス制度」の調査の報告として、「日本におけるパーソナルアシスタンス制度導入にむけた課題整理-札幌市パーソナルアシスタンス制度調査から」, 『福祉社会研究』13号、②平成23年度後半から平成24年度前半にかけて行った京都府重度訪問介護の支給実態と利用量調査の報告である。この成果は、第10回福祉社会学会(2012年6月3日、東北大学川内キャンパス)にて「重度訪問介護支給時間から見る障害者の地域生活支援制度の検討―京都府における重度訪問介護支給決定時間調査から」というタイトルで口頭報告を行い、さらに「重度訪問介護支給時間から見る障害者の地域生活支援制度の検討―京都府における重度訪問介護支給決定時間に関する調査から」, 『福祉社会研究』13号に調査報告として掲載された。 平成24年度後半にはロンドン郊外のサリーカウンシルとサリーインディペンデントリビングカウンシルにて、イギリスのパーソナル・バジェット制度についての利用実態と現状の課題についてヒアリングを行った。この成果は平成25年度に報告予定である。 上記の成果を踏まえて、韓国京畿開発研究院にて、京都府立大学と京畿開発研究院との国際交流締結記念研究交流セミナーにて、「社会ケアサービスにおける給付形態と分権化のリスク―障害者運動の日韓比較から」というタイトルで日韓の介護保険制度、障害者支援制度について報告を行った。
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