研究課題/領域番号 |
23730529
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
古山 周太郎 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (80530576)
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キーワード | 居住福祉 / 自立支援協議会 / 住居確保 |
研究概要 |
本年度は、地域自立支援協議会において、居住関連部会を設置している自治体に対して、ヒアリング調査を実施した。昨年度の全体的な状況把握において、居住関連の事業化や部会設置の進捗がすすんでいない状況が明らかになったため、本年度は先進的な取り組みを実施している自治体へヒアリング調査を実施した。対象とした自治体は、居住サポート部会や、住まいワーキンググループ等、地域の居住の場の確保や、居住支援に関して組織的に取り組んでいる、もしくは取り組もうとしている5か所であった。 自治体担当者、協議会メンバーや事務局にヒアリングを実施した結果、以下のような課題点と、部会設置にむけた意向が明らかになった。まず、課題点としては地域自立支援協議会自体の運営が、自治体および地域組織にとって大きな負担となっている点である。障害者に関連する地域課題は、多種多様にわたっており、自立支援協議会はすべてに取り組まねばならないため、住まいの課題解決までには至っていない。その理由として、事務作業の負担の増大、地域福祉団体の協力や参加の形骸化が指摘された。現段階では協議会自体の運営方針や位置づけをきちんと地域に浸透させる点に労力を払っている状況である。一方、居住関連部会を設置している協議会では、課題解決にむけて活発な取り組みがみられるものの、関連主体の協力参加についての課題を抱えていた。自治体の住宅部局については情報交換にとどまっており、協議の場への参加はみられなかった。地域の不動産事業者についても、情報提供への協力を仰いでいるものの協議会への参加を促すまでには至っていなかった。しかしながら、協議会では、居住関連の課題の重要性は認識しており、今後とも取り組むべき課題であるとの共通認識がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は3年間の研究期間のうち2年目であり、1年目の文献調査および予備調査を終えて、地域自立支援協議会で積極的に居住支援に取り組んでいる団体に対して、先行的にヒアリング調査を実施した。全国的なアンケート調査の実施にむけて、調査票の作成をすでに終えており、配布と回収の手筈を整えるだけの段階であり、当初の目的よりもすこし遅れているが、全体としては研究は順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進の方向性として、最終年度にあたる平成25年度には研究結果のとりまとめを行う。具体的には、全国の地域自立支援協議会へのアンケート調査の結果を整理分析したうえで、先進的な事例調査をあわせて、自立支援協議会における居住関連の課題と、住居確保にむけた有効な方策を明らかにする。また、協議会へ参加する住居確保に関連する事業者についての調査も可能な限り実施したい。さらに、これまでの調査に協力していただいた協議会での住まい部会の立ち上げに参加し、居住支援活動の実践にもかかわる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、札幌市厚別区の地域自立支援協議会への定期的な参加を予定しており、旅費が発生する。また、全国アンケート調査の入力作業のために謝金も必要である。
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