研究開始初年度において、まず全国の地域自立支援協議会の取り組みを調べたところ、居住に関連する部会設置が一部に限られていることがわかり、その原因として協議会の運営体制の脆弱性や、課題の優先順位が低いこと、福祉部局と住宅部局の連携の困難さが挙げられた。次いで、居住部会を設置している協議会にヒアリング調査を実施し、部会の活動内容をまとめたところ、大きくは、圏域内の居住関連の地域資源の整理、研修会の開催、居住ニーズ調査、居住支援関連制度の設置に分類できた。一方で、居住のテーマの絞りづらさや、成果の見えにくさ、事業者や家主との連携不足が課題として挙げられており、部会設置にいたったものの、単年度の取り組みにとどまる協議会もみられた。 最終年度は地域自立支援協議会の居住関連の部会において、協議会参加団体の居住に関連する地域の活動実態と居住に関する課題把握を行い、居住問題解決にむけた福祉コミュニティのありかたを検討した。具体的には、札幌市厚別区地域自立支援協議会の地域部会に実際に参画し、参加団体から地域の居住課題を抽出し、その解決にむけて主体間の連携の可能性や部会活動の方向性を議論した。その結果、現状では障害者の住まいについての地域理解や公民連携は進んではいないが事業者、利用者、支援団体、行政とも、居住の問題解決のプロセスにおちて福祉コミュニティの形成が不可欠であるとの意識があることがみてとれた。
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