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2012 年度 実施状況報告書

視覚障害者の聴覚錯誤のメカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730535
研究機関八戸工業大学

研究代表者

安部 信行  八戸工業大学, 感性デザイン学部, 講師 (30433478)

キーワード視覚障害者 / 聴覚 / 錯誤 / 音響 / 歩行 / 環境
研究概要

本研究は、視覚障害者が歩行中に突発的な騒音等が発生した場合に聴覚錯誤が起きることが以前の筆者の研究で明らかとなっており、様々な音環境の変化によってどのような条件で錯誤が起きるのかを明らかにすること、また、音以外の原因に関しても、どのような条件で方向の錯誤が発生しているかについて、聴覚錯誤のメカニズムを明確にすることを目的として研究を進めている。
本年度は聴覚錯誤研究に関して、福祉先進国である北欧のデンマーク及びスウェーデンでは視覚障害者福祉に関して、特に音に関する訓練に関してどのような施策があるのか実際に現地を訪ねて調査を行った。特に、デンマークでは視覚障害者への生活訓練として音に関するプログラムがあることもデンマーク国立の視覚障害者訓練施設における調査で明らかになった。
聴感実験に関しては、本年度は残響時間の短い空間を使用して聴感実験を繰り返し行った。実験空間としては、本学の既存の設備である簡易型無響室(無響空間)を使用した。無響室内に8chのスピーカーを被験者の周りを囲むように円状に設置し、中心に被験者に座ってもらう形で聴感実験を行った。音源には1,000kHzの単音を使用した。スピーカーから被験者までの距離は1.9mである。被験者30名を対象として、8chの各スピーカーから音をランダムに発生させて、発生したスピーカーの位置を示してもらう手法で実験を行った。被験者の正面からみて真横(左右)のスピーカーに関する正答率は約80%であるのに対して、正面や真後ろに存在するスピーカーの方向に関する正答率は50%程度であり、正面や真後ろに関する聴覚錯誤が明らかとなった。この実験結果より、無響空間における聴覚錯誤が明確になった。固定音源に関する聴感実験により聴覚錯誤が明らかになったことを踏まえて、今後は移動音源による聴感実験を進め、聴覚錯誤のメカニズム解明に向けて研究を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、様々な音環境の変化によってどのような条件で錯誤が起きるのかを明らかにすること等、聴覚錯誤のメカニズムを明確にすることである。
これまでの研究成果より、聴覚錯誤の発生に関してはある程度明らかになっていることから、聴覚錯誤の予防として視覚障害者の歩行訓練も視野に、追加で調査を行った。国内における視覚障害者訓練機関では音に関する歩行訓練が行われていないので、海外の事例調査として北欧(デンマーク・スウェーデン)における歩行訓練の実態について調査したことは、当初の計画以上に進展していると言える。
聴感実験に関しては、晴眼者による聴感実験については30名程度の被験者を確保できたことからおおむね順調と言えるが、未だに視覚障害者による聴感実験には至っていない。
以上のことから、研究全体としては、おおむね順調に進展している状況である。

今後の研究の推進方策

研究達成度でも示したが、今後の聴覚錯誤に関する聴感実験に関しては、視覚障害者による聴感実験の実施が必要であることから、日本盲人会連合等の視覚障害者団体に実験協力の依頼をする予定である。
聴覚錯誤予防のための歩行訓練等については、次のステップであるが、国内における歩行訓練システムの把握や海外における歩行訓練についても更なる調査が必要であることから、今年度も北欧における現地調査等が必要となる場合がある。

次年度の研究費の使用計画

今後の研究の推進方策にもあるように、海外における現地調査が発生した場合の海外出張の旅費を支出する可能性もある。
聴感実験を進める上で、現在は固定音源を使用した実験に留まっているが、今後は移動音源による聴感実験の必要もあることから、移動音源を発生させるためのシステム構築として、現在、聴感実験に使用しているデジタルミキサーとPCを繋いで音響制御用のソフトウェアを購入する計画がある。また、現在、空間音響測定に使用しているPC(Windows)が老朽化していることから、更新が必要になる場合もある。

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公開日: 2014-07-24  

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