研究課題/領域番号 |
23730540
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
高野 聡子 聖徳大学, 児童学部, 講師 (00455015)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 社会福祉 / 知的障害 / 特別支援 / ひきこもり / 障害者福祉 |
研究概要 |
本年度は、ひきこもり状態にある知的障害者の家族から聞き取り調査を行った。聞き取り調査の質問項目を作成するに際して、ひきこもり状態に関する先行研究を検討した。ひきこもり状態に関する研究は、研究分野(精神福祉保健学、精神医学、心理学、社会学)や立場(医師、研究者、臨床心理士等)が様々であり、多岐にわたる。そのため、ひきこもり状態に関する研究は、研究分野ごとに問題意識やアプローチの方法が異なり、研究の目的(ひきこもり状態に対するアプローチ方法の検討か、ひきこもり状態が生ずる背景を明らかにするのかなど)が異なる状況にある。このことを踏まえれば、ひきこもり状態という用語を使用する際には、どのような定義や概念を意味して、ひきこもり状態という用語を使用するのか明確にしなければならない。そのため、聞き取り調査においては、研究者は「ひきこもり」や「ひきこもり状態」という用語は聞き取り調査の間では使用せず、対象者の状態や状況について詳しく聞き取ることに終始した。 聞き取り調査からは、何ら福祉サービスや支援を利用して(受けて)おらず、1日中家で過ごす生活が数年間続いており、全ての問題や課題が家族に委ねられていることが明らかになった。また、そのような状態になる以前の環境下でかかわりがあった福祉職員とのわずかな繋がりがあることも明らかになった。この聞き取り調査によって、ひきこもり状態にある知的障害者の家族から聞き取り調査を行うだけでなく、福祉職員等からも聞き取り調査し、何ゆえひきこもり状態が生じたのか、そしてそれは知的障害者に特有であるのかについて、さらなる研究が必要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
知的障害者の家族から聞き取り調査を実施することはできたが、聞き取り調査を行う以前の先行研究の分析に予想以上に時間がかかり、小規模作業所や地域活動支援センター等の福祉職員からの聞き取り調査に着手することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
小規模作業者や地域活動支援センターの職員から聞き取り調査を実施し、前年度の知的障害者の家族からの聞き取り調査とあわせて、予備調査のための質問紙を作成し、予備調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
先行研究の分析に時間がかかったため、当初計画していた対象者に聞き取り調査を行うことができなかった。その結果、次年度に繰り越す金額が発生した。次年度は、本年度に着手できなかった聞き取り調査だけでなく、当初から計画していた調査を実施するために使用する。
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