中山間地域や離島において地域包括ケアシステムを構築するために基礎自治体が取り組むべき課題を明らかにするため,主に以下の3点について考察した。 第一に,基礎自治体と地域住民との関係性を分析した結果,一度築かれた関係は制度の対象とならなくなった後も維持される傾向があることが確認された。第二に,小規模自治体では,組織内部の意志決定や職員の自由裁量の度合いに有利性がみられた。第三に,地域包括ケアシステムの発見機能を分析した結果,地域住民の生活課題が顕在化しやすい一方で,地域の慣習に適合しない生活を送る住民は,地縁ネットワークから漏れやすい傾向にあることが確認された。
|