平成23年度は、孤立死、孤独死、独居死関することばの定義の整理を行った。また、東海地区(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)にあるすべての地域包括支援センター(429カ所)を対象に高齢者の緊急対応事例・孤立死事例に関するアンケート調査を実施し、164カ所から回答を得た(回収率38.2%)。その結果、緊急対応事例・孤立死事例は都市部に限られたことではなく、中・小都市でも起きていることを明らかにした。 平成24年度は、孤立予防活動に関する研究を中心に行った。今回、孤立「死」予防ではなく、孤立予防活動を行うことが孤立「死」予防に繋がるからである。そして、孤立予防活動の類型化として、①コミュニティ方式、②協同組合方式、③NPO方式に整理した。昨今、家族や地域住民の関係性の希薄化が問題視されている。しかし、家族や地域住民の関係性の再構築は容易なことではない。確かに東京都立川市の大山自治会の実践のようにコミュニティ活動がしっかりしており、コミュニティ方式の予防活動が機能しているところもあるが、レアケースである。そこで、本研究では、特にNPO方式や協同組合方式の活動に注目した。 孤独死予防活動のパイオニアであるNPO法人まつど孤独死予防センターの代表者へのインタビュー調査を行い、またセンターが運営しているふれあいサロンも視察調査した。また、東京都杉並区を中心に活動している東京西部保健生活協同組合の「福祉のまちづくり・杉並」の取り組みを調査した。また、西成医療生活協同組合のモーニング班会の活動も調査した。さらに、東京都港区が「ふれあい相談員」を配置して、すべての一人暮らし高齢者を全数訪問する活動をしており、行政が取り組む活動としては注目すべきものだと言える。そして、孤立予防する特効薬はないので、地域の中にさまざまな活動が必要であることもわかった。
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