研究課題/領域番号 |
23730557
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
永田 祐 同志社大学, 社会学部, 准教授 (90339599)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 個人予算 / Brokerage / Personalisation |
研究概要 |
平成23年度は、研究費を有効に活用し、意義ある成果を得るために、徹底的な文献調査と現地の情報収集を主に行った。具体的には、(1)先行研究の検討、(2)調査対象地域の検討と、(3)インタビューガイドの作成、(4)プレ調査の実施である。(1)~(3)については、年度を通じて研究を遂行し、平成24年3月には在英の協力者に依頼して、特に高齢者に対する個人予算に積極的に取り組んでいる地方自治体(いずれもロンドンの特別区)を4地域(Kensington and Chelsea、Sutton、Dagenham、Richmond)を選定し、作成したインタビューガイドを用いて、プレ調査を行った。 プレ調査では、本研究のリサーチクエスチョンである「個人予算を活用して高齢者が自らのサポートプランを作成する際の支援の体制は、どのようなものであるか。特に、地方自治体のソーシャルワーカーとボランタリーセクターの役割はどのように変化しているのか。」について、(1)地方自治体社会サービス部の個人予算の担当者(kensington and ChelseaとDageham)と(2)個人予算の仲介を支援している実績のあるボランタリー組織(SuttonとRichmond)にそれぞれインタビュー調査を行うことができた。また、二つ目のリサーチクエスチョンである「個人予算の活用はそれを活用する高齢者自身にどのような変化を及ぼしているのか。特に、サポートプランの作成への「参加」は、どのように認識され、生活にどのような効果を生み出しているのか。」についても間接的に調査を行うことができた。 プレ調査を通じて、作成したインタビューガイドについてはおおむね妥当性が確認できたと同時に、今後調査が必要な項目についても重要な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように研究は順調に進展している。 研究計画上、23年度は(1)先行研究の検討、(2)調査対象地域の検討と、(3)インタビューガイドの作成、(4)プレ調査の実施を遂行することになっていたが、すべておおむね順調に実施できたが、以下それぞれについて達成度を述べる。 (1)先行研究の検討について:個人予算に関する書籍、論文を収集し、先行研究のレビューを行うことができた。(2)調査対象地域の検討:今回のプレ調査を含め、個人予算の試行事業の対象となった13の自治体を対象とすることが妥当であることが確認できた。(3)インタビューガイドの作成:先行研究の調査に基づき作成した。プレ調査を実施することで修正点も明らかになった。(4)プレ調査:インタビューガイドに基づいて実施した。すでに述べたように、インタビューガイドはおおむね妥当であることが確認できた。また、実際に自治体や非営利組織の担当者にインタビューすることで、制度の実態についても理解が深まった。 以上の通り、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に基づき、研究を実施する。 これまで通り、在英の研究協力者にインタビュー先のアレンジ、インタビュー調査への同行、インタビューデータの分析の確認を依頼し、効率的かつ妥当なインタビューが実施できるように心がける。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、23年度の成果に基づいて6程度の地方自治体を対象に、先に述べた(1)個人予算の自治体担当者、(2)ソーシャルワーカー、(3)ボランタリー組織、(4)高齢者本人に対してインタビューガイドに基づいたインタビュー調査を実施する予定である。 そのため、旅費、研究協力者への謝金を中心に、文献を随時購入する予定である。
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