具体的内容 最終年度に実施した研究(調査)の成果の具体的内容は以下のとおりである。 第1に、パーソナリゼーションにおけるソーシャルワーカーの役割について述べる。ほとんどのソーシャルワーカーが有資格のソーシャルワーカーの役割として認識していたのは、アセスメントと権利擁護、そして困難ケースを担当することだった。アセスメントでは、地方自治体の義務である受給資格基準の判定やその後の権利擁護を見据えた、本人のニーズとリスクをアセスメントすることが、専門職としての重要な役割であると認識されていた。権利擁護については、特に虐待などからの保護において、ソーシャルワーカーがこうしたプロセスをリードすることがガイドラインで定められていることからも、強い自負を持って取り組んでいるワーカーが多かった。さらに、ソーシャルワーカーが担当するケースは、パーソナリゼーションが想定するような選択とコントロールが難しいいわゆる困難ケースが多い。いいかえれば、有資格のソーシャルワーカーの役割は、クライエントの「選択とコントロール」を支援するという当初想定されていた役割ではなく、受給資格基準とリスクのアセスメントすること、虐待や困難ケースに対する危機介入や対応が中心になっていることを示した。 第2に、パーソナリゼーションの高齢者本人への影響について述べる。個別予算型のプログラムを高齢者に適用することが難しい要因として、大きく①社会サービスの制度に起因する要因、②制度の運用に起因する要因、③高齢期の特性に起因する要因、④本人の選択をサポートする家族に起因する要因に分類できることを示した。ソーシャルワーカーは、高齢者自身の要因(③)を強調する傾向にあったが、ワーカー自身のそうした認識(高齢者は選択を望まないという認識)が高齢者が選択とコントロールを拡大していくことを難しくしているという指摘するワーカーもいた。
|