本研究の目的は、①緩和ケアに携わる援助者がどのようなグリーフを抱え、グリーフにどのように対応しているかを明らかにすること、②緩和ケアに携わる援助者に必要な資質や職場環境のあり方を検討すること、③援助者に必要なグリーフケアを検討することである。この目的を達成するため、最終年度は下記を中心に研究を行った。 1つは、インタビュー調査の実施である。昨年度に引き続き、緩和ケアに携わっている援助者を対象に約60分のインタビュー調査を実施した。インタビューでは、看取りケアやグリーフケアの実践、これまでにつらかった患者との喪失体験、グリーフへのコーピング(対応方法)、職場環境・職場内の援助者へのグリーフケア、緩和ケアの場で仕事する難しさ・やりがい、臨床をささえるもの・援助者としてたいせつにしていること、必要と感じる援助者へのグリーフケアについてお話をうかがった。これまでの先行研究を分析すると、援助職者のグリーフというと、看護師を対象とした研究が大半であることが明らかとなった。そこで本研究では、先行研究では十分に行われていない点を考慮し、さまざまな職種、職場、年齢層、実践経験をもつ多種多様な方々にインタビューに協力して頂いた。これらの基本属性によって、援助職者が抱えるグリーフやその対応の方法、職場環境のあり方などに違いがみられ、非常に意義深い調査をさせて頂くことができた。 2つめは、インタビュー調査で得られたデータの分析と研究の考察である。これまでに行ったインタビューで得られたデータを分析し、医師、看護師、ソーシャルワーカー、チャプレンがどのようなグリーフを抱えているか、それにどのように対応しているか、グリーフに影響する要因とは何かを分析した。そして、今後、援助職者がよりよいケアを実践していく上でどのようなグリーフケアの実践や教育などが必要かを考察した。
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