地域社会の変化、家族関係の変化に伴う社会的養護ニーズの変化を受け、虐待その他環境上の理由により家庭外措置を必要とする子どもたちに対して提供される社会的養護に対して、質的・量的な変化が求められるようになった。2003年には児童福祉法の改正により専門里親や親族里親など里親制度の拡充がなされた。また同年出された社会保障審議会児童部会より出された社会的養護のあり方に関する専門委員会報告書においては、大規模な施設ケアから家庭的なケアのあり方への方向性が示されるなど、社会的養護としての里親制度に対する期待が高まっている。そのような中、児童養護施設においては家庭支援専門相談員の最低基準への位置づけや里親支援専門相談員の配置などからもわかるように、家族再統合に向けたソーシャルワークの必要性や、子どものパーマネンシー保障のための里親委託の推進、里親支援が重要な役割として位置づけられるようになった。本研究では、子どもの権利を保障するための児童相談所によるリーズナブル(道理にかなった)な里親認定アセスメントのあり方と、児童相談所と児童養護施設の連携に基づく「親育ち支援としての里親研修プログラム」のあり方を探ることを目的として研究してきた。児童養護施設の家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員を中心とする研究協力者に実践現場での専門的知見に基づく助言を受ける中で、「里親の親育ちを支援するための児童相談所・児童福祉施設・里親の情報共有システム」の構築を目指してきた。研究の結果、「社会的養護で育つ子どもたちに養育の連続性(パーマネンシー)を保障するための専門職の援助の視点」を明らかにするとともに、ICTを活用した情報共有システムの構築に至った。
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