研究課題/領域番号 |
23730561
|
研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲郎 松本大学, 総合経営学部, 講師 (50510799)
|
キーワード | プログラム評価 / 社会福祉協議会 / 地域福祉 |
研究概要 |
本研究の目的の1つとして、社協ワーカーが地域福祉活動を推進していくために、どのような技術を活用し地域へ働きかけているのかそのプロセスを明らかにすることである。研究方法は、社会福祉士有資格者で実務経験が10年以上の社協ワーカー14名を対象に半構造化インタビューを行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにおいて分析を行った。分析の結果2つのコア・カテゴリー、8つのサブ・カテゴリー、24の概念からなるプロセスが説明された。 第1に、地域福祉実践の構造として【暮らしの場での主体力醸成サイクル】と、それを推進する援助技術部分である【社協ワーカー軸の能動的構築】による実践モデルが提示できた。そして [能動的学習モード]と[学習・経験によるスキルの深化]の相互作用、そして【社協ワーカー軸の能動的構築】と【暮らしの場での主体力醸成サイクル】の相互作用により地域福祉援助が展開されていた。 第2に、援助技術を説明する[学習・経験によるスキルの深化]で抽出された7つの概念について、援助プロセスの各場面において必要な技術を<あの手この手>で用いていた。社協ワーカーの感覚的部分である<感受的インスピレーション>を働かせながら援助技術を用いているということである。 第3に、【暮らしの場での主体力醸成サイクル】については、社協ワーカーの働きかけにより、地域住民が<「小」を「公」にする>の影響を受けながら、【我が事として引き寄せる】から【思いにコミット】に至る変化が示された。 第4に、本研究で示した結果は経験豊富な社協ワーカーの実践をもとに生成した仮説理論である。したがって、経験の浅い社協ワーカーはもとより、社協ワーカーの同僚やスーパーバイザーが組織に不在の場合に、本実践モデルを活用することで日々の実践やその意味を確認するための評価指針の基になると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
質的データをまとめた仮説理論構築の研究論文を学会誌に投稿したが、査読者からの指摘を複数個所受け、現在、再投稿の準備を行っている。 なお、本研究は質的調査結果による仮説理論を基に質問紙を作成しアンケート(量的)調査を行う必要があるため計画が遅延した。 平成25年度はアンケート調査の実施及びデータ分析を行い、社協ワーカーの実践に活用可能な評価指標を提示する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
1【評価指標(案)を活用したプレ調査の実施及び評価指標の修正】作成した評価指標を基に、質問項目とする質問紙を作成し5件法を用いてプレ調査を行う。対象者は主に和歌山県・兵庫県内社協の地域福祉担当の社協ワーカーとする。質問紙は郵送法で行い有効サンプルを概ね30程度確保するよう努める。量的分析等によるプレ調査の結果を踏まえ、設問や質問方法などで必要があれば部分的に修正する。 2【評価指標の妥当性の検討】修正を加えた評価指標の妥当性を検証するために、北信越及び近畿の各府県内の市町村社協に勤務している地域福祉担当の社協ワーカーに対して、妥当性を問うために5件法による質問紙を作成し郵送法によって調査を行い、結果を因子分析および信頼性係数の算出により評価指標としての妥当性を検討する。 3【評価指標の完成及び自己評価指標の活用】完成した評価指標を、社協ワーカーが自己評価として活用できるように、その周知及び活用に関する説明を行い、調査協力者にも協力を依頼しながら現場で活用できるよう促していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
旅費 80,000円(研究旅費) 消耗品費 120,000円(質問紙作成に使用するインク代・封筒ほか) その他 200,000円(アンケート郵送に伴う郵便料)
|