研究課題/領域番号 |
23730566
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
久保 温子 西九州大学, 公私立大学の部局等, 助教 (20454944)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 低年齢児 / 電動車いす / 移動経験 |
研究概要 |
研究の目的:小児の電動車いす導入は厚生労働省より小学校高学年以上が望ましいという指針が示されており、実際の導入は少なく地域差があるのが現状である。また学術的にも低年齢児の電動車いすに関する基礎データは少ないのが現状である。そこで本研究では、電動車いすの基礎データを収集し、低年齢からの移動支援の可能性を探ることとした。研究実施状況:平成23年度引き続き行ってきた、佐賀県における電動車いす交付実態調査をまとめ発表した。佐賀県において平成19-21年度に18歳未満で電動車いすを交付された件数は5件であり、小学生以下の交付は0件であった。また15年間の後方視的調査によると、低年齢児への交付最少年齢は5歳であり、18歳未満での交付平均年齢は12歳。疾患では脳性まひが最も多い結果となった。少ないながらも未就学児童ならびに小学校低学年児童に対して電動車いすが交付されている現状が明らかになった。交付平均年齢が12歳であったのは、中学校進学に向けての準備の一環として申請がおこなわれたことや筋ジストロフィーなどの神経筋疾患の児童が歩行困難になることが多い年齢と一致した。 次に未就学児童の健常児を対象として、電動車いす操作に必要な能力について検討を行った。調査内容は電動車いす操作能力テスト、運動、認知能力、総合発達評価とした。その結果、4歳程度の認知、社会性の発達が認められる児童に関しては電動車いすを屋内で安全に操作できる可能性があることが示された。 低年齢児の電動車いすに関する研究についてはシングルケース検討が多く、健常児を対象としてはいるものの、本研究で就学前からの電動車いす導入に向けての可能性が示されたことは意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画のうち前半を論文としてまとめた。研究計画後半ついては、来年度学会での発表が決定している。来年度の研究計画については随時実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は健常児を対象にした電動車いす操作に関する基礎データ処理を継続し、学会発表ならびに論文投稿に繋げていく。また平成23年度購入した低年齢児用の電動車いすならびに座位保持装置を利用して、実際に電動車いすを利用予定している障害児でのデータ収集を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集に必要な評価用紙、データ処理に必要な備品、消耗品ならびにデータ収集の際の謝金・交通費を支出する予定である。また、本年度・来年度の研究成果の発表に必要な経費(論文投稿・学会発表)について支出を予定している。
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