本研究では,介護労働者における仕事のストレス要因と,その改善に結びつくヒントを検討することが目的であった.仕事のストレス要因として,施設利用者やその家族,上司や同僚といった他者との人間関係に起因するものが多く見られた.また,そのような人間関係の悪化に,他者の感情を読みとる力が深くかかわっていると考え,認知症利用者の専門棟で働く介護労働者を対象に調査を実施した.結果,夜勤および看取り介護による負担が,他者の表情から嫌悪感を抱く感受性に影響を及ぼすことが示唆された.なお,それらの影響は勤務後の睡眠の質の低下や疲労度の増大も引き起こすので,その種の労働負担の緩和を念頭にした適切な対応が求められる.
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