研究概要 |
本研究では、介護保険サービスの利用の実態を明らかにするため、サービスの組み合わせのパターンと各パターンの選択に影響する要因について検討を行った。高齢者の包括的アセスメントツールであるMinimum Data Set-Home Careを利用している首都圏の居宅支援事業所 (10ヶ所) における、利用者983名のアセスメントデータおよび介護保険サービスの利用状況に関するデータを分析対象とした。 分析ではまず、各介護保険サービスの利用状況に関する記述統計量の算出により、頻度の高い組み合わせを同定した。次に、サービスの各組み合わせの選択に影響する要因を明らかにするため、決定木分析 (chi-squared automatic interaction detection [CHAID] analysis) を実施した。分析の結果、サービスの組み合わせは(1) 通所介護 (通所リハビリを含む) のみ (16.5%)、(2) 通所介護 (同) と福祉用具貸与 (14.4%)、(3) 通所介護 (同)、訪問介護、福祉用具貸与 (13.2%)、(4) 訪問介護と福祉用具貸与 (11.8%)、(5) 福祉用具貸与のみ (10.9%)、(6) 訪問介護のみ (8.7%)、(7) 通所介護 (同) と訪問介護 (7,7%)、(8) 訪問介護、訪問看護、福祉用具貸与 (5.4%)、(9) その他 (11.3%)に分類できた。CHAIDによる決定木において、利用サービスの組み合わせのパターンに影響していた変数は、要介護度、同居家族の有無、認知機能、医療処置の有無であった。本分析において、介護支援専門員 (基礎職種、経験年数等) と居宅介護支援事業所の特性 (経営主体、他のサービス事業所の併設等) は利用サービスの組み合わせに関連していなかった。 本研究で明らかになった利用サービスの組み合わせは、各地域でのサービス利用の特性の把握や、サービス利用の効果の評価を行う上で活用できる。今後、本研究結果の一般化可能性について更なる検討が必要である。
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